発達障害児の発見が遅れる理由

発達障害児支援施設の取材をしていくと、早期発見を遅らせ、早期支援が受けられない子どもが増えている原因は、実は親ではないのかと感じることが少なくありません。その親というのは、発達障害児支援施設に相談にしているので、少なくとも放っているわけではありません。現実に目を向けて、発達支援を受けることによって子どもの将来を明るくしたいという考えをしています。しかし、思い込みのために、別のところでの見逃しが起こりがちです。
長男の発達障害について相談に来た保護者が、見学のときに次男も連れてきていて、長男の発達障害の状態は的確に判断しているものの、相談を受けた専門スタッフからすると次男の行動を見て、次男も発達障害の可能性があるということを伝えても、それを否定する親が少なくなりません。専門スタッフから聞いたところでは、兄弟で同じ状態なら見分けがつきやすくても、別の状態だと親が見分けがつかない例が多いということです。
ネット検索をすれば発達障害の情報はいくらでも出てきます。中には誤った認識、誤った情報もあるので注意は必要ですが、正しい情報に巡り合っても、自分の子どもの状態のことばかりを調べて、発達障害を決めつけるようなところがあります。発達障害は大きく自閉症スペクトラム障害、注意欠如・多動性障害、学習障害があり、他にも対象者は少ないとしても複数の障害があります。例えば、長男が自閉症スペクトラム障害だと、自閉症スペクトラム障害については検索したり、周囲の人に聞くなどして情報を蓄積していても、注意欠如・多動性障害のほうはよく知らないということがあり、それが見逃しをして、早期発見を遅らせることにもなります。
男の子と女の子では、自閉症スペクトラム障害にしても注意欠如・多動性障害にしても異なる特性を示すことがあります。そこを注目せずに、発達障害児はこういったものだと決めつけてしまうと、見逃すことになります。子どもが発達障害になった事実は認めても、2人ともに発達障害ということは認めたくない親の気持ちはわからないでもないのですが、それが子どもの将来を大きく左右する結果になるということには気づいてほしいのです。