1)要求の実現
応用行動分析として、よく例としてあげられるのは、おもちゃ売り場の前を通ったときの子どもの行動と、それに対する親の対応です。
おもちゃ売り場の前を通ったときに、買ってほしいものがあるとして子どもが泣いたときに、買ってあげたら泣き止んだということがあるとします。これで買ってあげた親や祖父母は解決できたと思いがちですが、子どもは泣けば買ってもらえるということがわかり、次におもちゃ売り場の前を通ったときに泣くようになります。
泣けば買ってもらえるという成功体験があるためで、次には買ってあげないという態度を示しても、買ってもらえるまで泣き続けるということになります。
泣くだけでなく、要求が通らないときには癇癪(かんしゃく)を起こす、他のことでも要求を通そうとするといった行動が増えることが予想されます。
2)回避と阻止
子どもの強い要求を解決するために、おもちゃ売り場の前を通らないようにしても、泣けば買ってもらえるという成功体験のために、他の店の前でも泣いて動かないということが起こります。絶対に買わなければ諦めるということが期待されるものの、それも通じない例が多くなっています。
本人は泣くこと、その場を動かないことが適切なことではなく、親などを困らせていることを理解していても、それが成功体験につながると続けようとするところがあります。
発達障害の自閉症スペクトラム障害の場合には、特有のこだわりから、その要求がかなえられないことに不安や苛立ちを感じて、それを回避するための方法となることもあります。注意欠陥・多動性障害の場合には、衝動性があり、要求を通したい行動が起こると、周囲が説得をしても途中で止められなくなることがあります。
本人は好ましいことではないことがわかっていたとしても、嫌なことから逃れられる、避けられると、その状況から離れるために同じ行動を繰り返すようにもなります。同年代の子どもに手を握られたり、テスト用紙を覗かれるのを避けるために体を叩いたり、噛むといった行動がみられることがあります。
このような危険行動であっても、不快なことを回避できたために、同じ回避や阻止をするための問題行動につながることがあるのです
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕