発達障害支援17 学習意欲を高める応用行動分析の活用

学習の向上には失敗体験をできるだけ減らし、小さな成功体験を積み重ねさせる手法が一般には使われています。しかし、学習障害の場合は、周囲と同じように学べない、理解できないこと自体が失敗体験の連続とも言えることであり、この状態を克服するほどの成功体験を得るためには、小さな成功体験を常に得て、次へと少しずつ進んでいくことが大切になります。

そのための手法がスモールステップであり、スモールステップのためにできることから実施することが重要になってきます。

学習障害は、視覚情報処理の異常から出題がわからない状態から、識字・書字・算数の基本的なところは理解していても問題の意味がわからないために正解できないという状態まで、さまざまな段階があります。その中でも多いのが、まったくわからないわけではなくて、文章題で問われていることがわからないために、考えて書くことができないという状態です。

問われていることがわからないと、不安や苛立ちが強くなり、このことによって学習に集中しにくくなり、解答できなくなるという悪循環に陥りやすくなります。

何が問われているのかさえわかれば、そこから先は、これまで学んできたことを思い出し、それを組み合わせ、自分の力で順を追って解決していくことができるようになります。

解答法がわからない学習障害児は、自分の知っている方法を使おうとするところがあり、また以前にうまくいった方法を使おうとする誤学習が起こりやすくなっています。

さらに、一度体験したことが後々まで残る過剰学習も起こりやすく、そのために他の行動や柔軟な行動が取れないことにもなります。

このような陥りやすい状態を知り、それぞれの子どもが引っかかっているところを気づき、的確に指導することによって、持っている能力を引き出すことが学習障害の改善を指導するときの大きなポイントとなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕