「細やか」と書いて、「ささやか」と読むのか「こまやか」と読むのかによって、意味合いが大きく違ってきます。「ささやか」は、規模が小さいこと、粗末なこと、ほんの小さな、といった意味があり、「ほんの小さな出来事に〜」というチューリップのサボテンの花の歌詞がよく言い表しています。
「ささやかな生活」というのも例文として、よく使われていて、これはミニマリストが目指している無理も無駄もない生活ということと合致しているようです。
「こまやか」は、心がこもっている、思いやりの気持ちが隅々まで行き届いている、という意味があります。「細やかな心づかい」という使われ方をしています。
他にも「ほそやか」という読み方もあって、これは細い、スリムといった意味です。生活のスリム化は、ささやかな生活かもしれませんが、実は自分をしっかりと見つめた「こまやか」な気持ちを言い表すということでは、同じ意味合いです。
もともと同じ「細やか」なので、共通していることがあるのは、当たり前のことかもしれません。
このように読み方と意味がわかっていて、ちゃんと使い分けられていれば何ごとも起こらないのですが、中には間違って覚えてしまい、それを自分の気持ちを伝えるために使っている人もいて、トラブルの原因にもなっています。
言葉として「こまやか」と言うべきところを「ささやか」と言われてしまうと、つまり「細やか(ささやか)な気持ちで取り組め」と言われると、「そんなに力を入れて取り組まなくてよいのか」と思う人がいます。
言葉の裏側にある意味合いや比喩が通じにくい人が増えていることは、発達障害がある子どもや成人の支援活動に取り組んでいると、強く感じることです。正しい読み方をして、正しく伝えることの大切さを話すときに「細やか」を引き合いに出しています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕