脳の機能を高める成分として大豆に含まれるイソフラボンが注目されています。イソフラボンを多く摂れば、それで効果が期待できるのか、それとも種類(大豆、納豆、豆腐、みそ)によって違いがあるのか、これについて大規模調査が行われています。
これは1995年(平成5年)と1998年(平成8年)に秋田県、茨城県、長野県、高知県、沖縄県の5保健所管内に住んでいた45〜74歳の4万1000人の男女を2016年(平成28年)まで追跡した結果です。
それによると、総大豆製品、納豆、豆腐、みそと、イソフラボンの1日のあたりの摂取量を計算して、摂取量と認知症リスクが調べられました。追跡期間中(2006〜2016年)に4911人が認知症と診断されていますが、男女ともに総大豆製品やイソフラボンと認知症リスクの関連はみられませんでした。
個別の食品では男性では関連はみられなかったものの、女性では納豆の摂取が多いグループで認知症リスクが低下する傾向がみられました。年齢を60歳以上と未満で分けて調べたところでは、60歳未満の女性で納豆の摂取と認知症リスク低下との関連が統計学的に有意となりました。
納豆の摂取がよい結果であるのに対して、みその摂取量が多いグループでは認知症のリスクが高いという結果となっていました。みそにもイソフラボンは多く含まれていても、その一方で塩分が含まれています。過去には、みその摂取量と高値血圧発症や脳卒中には関連がないとの結果が得られていて、みその有効性については今後の研究が必要とされています。
イソフラボンと認知症リスクの研究が欧米では盛んに行われていますが、アジアでは少ないことから、日本人を対象とした調査は今後の継続されることが期待されています。