カルシウムの必要量は年齢によって異なっています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、1日の推奨量は男性では18〜29歳で800mg、30〜74歳で750mg、75歳以上で700mg、女性では18〜74歳で650mg、75歳以上で600mgとなっています。
この摂取量は吸収率が関係しています。18〜74歳の女性は650mgとされていますが、この年代は1日に190〜200mgのカルシウムが必要になります。カルシウムの吸収率は約30%であるので、その逆算から650mgと計算されています。
男女ともに、どの年齢においても同じように計算されていますが、高齢者の場合には、これだけでは不足します。というのは、カルシウムが吸収されるためには条件があって、年齢を重ねると条件が悪くなってくるからです。
その条件というのは、カルシウムはイオン化してから吸収されることです。胃液が多く分泌されることでイオン化が進んでいきますが、年齢を重ねると胃液の分泌量が減っていきます。胃液の分泌量は個人差が大きいものの、加齢による減少は共通しています。
高齢になると食欲があっても多くの量が食べられなくなるのは、胃液の分泌量が減っていくからで、その変化に合わせるようにカルシウムの吸収率も低下していきます。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和元年)の結果によると、男性では50〜59歳で471mg、60〜69歳で533mg、女性では50〜59歳で472mg、60〜69歳で539mgとなっています。
50〜59歳の充足率は男性では約63%、女性では約73%、60〜69歳は男性では約71%、女性では約83%となっています。若い年齢層よりも充足率は高くなっているものの、17〜37%が不足しています。胃液の分泌量による吸収率の低下を考えると、まだまだ多くのカルシウムを摂取する必要があることがわかります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕