基礎代謝は生命を維持するために使われるエネルギー量のことで、1日に使われるエネルギー量のうち70%ほどを占めています。身体を動かすための活動代謝が20%ほど、残りの10%ほどは食後に体温が上昇する食事誘発性熱産生となっています。
基礎代謝が70%というのは成人の場合で、子どもはより多くのエネルギーが必要で、これが成長のために使われています。高齢者の場合には筋肉量の低下と、脂肪酸をエネルギー化させるために必要な代謝促進成分が低下することから、基礎代謝量が低下していきます。
基礎代謝量の変化を30歳と比較すると、65歳では平均して85%に低下しています。15%というと、かなり大きな低下です。
1日の食事摂取量が30歳の男性で2400kcalだったとすると、そのうちの70%が基礎代謝だったとして1680kcalとなり、その15%なので252kcalも少なくなります。これは、ご飯なら大盛りで1杯分、肉や魚は2切れに相当する量になります。
体内でエネルギーを作り出すためには、酸素を全身の細胞に取り込むことが必要で、その酸素を確保するためには呼吸が重要です。高齢になると呼吸量が減り、最大呼吸量は30歳と比較して65歳では50%にもなります。
そのために、通常の生活ではエネルギー産生量が減って、これが高齢による身体活動の低下、全身の細胞の新陳代謝の低下につながります。高齢者の酸素摂取量が減るのは、活動量が減るだけではないのです。
年齢を重ねた人には、比較的簡単に実施できる有酸素運動としてのウォーキング、体操による深呼吸がすすめられるのは、酸素を取り込む量が減るのを補うように、酸素を取り込む呼吸の回数を増やすことが求められているからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕