身体年齢の測定の指標となる筋力とバランス能力は、生活習慣病の有無によって大きな差が出てきます。生活習慣病の中でも“全身疾患”と呼ばれることが多い全身の血管に影響する高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)は血流の低下から筋肉や神経伝達にも影響を与えます。
生活習慣病の中から、今では国民の10人に1人が患者、さらに10人に1人が予備群で、合わせて20%が該当するという状況です。今や国民病とまで呼ばれるほど急増した糖尿病を例にすると、筋肉が減ることは糖尿病のリスクを高めます。
糖尿病の測定値である血糖値は血液中のブドウ糖の量を示す値となっています。筋肉はブドウ糖をエネルギー源として使用するとともに、ブドウ糖をグリコーゲンに合成して貯蔵する役割もしています。筋肉量が減ると、ブドウ糖が筋肉に取り込まれにくくなり、血糖値を上昇させることにもつながります。
血糖値が上昇すると膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは細胞にブドウ糖を取り込ませる働きをするホルモンですが、細胞の増殖や成長を促す作用もあります。糖尿病は血糖値が高まることで膵臓に負担がかかり、インスリンの分泌量が減ってきます。そのために血糖値が下がりにくくなるのが糖尿病の始まりです。
インスリンの分泌量が減ると筋肉の細胞も増殖しにくくなることから筋肉が増えにくくなります。そして、筋肉が減ることによって血糖値が上昇しやすくなり、インスリンの分泌量が減る、といった悪循環が起こるようになります。
糖尿病になると食事療法とともに運動療法もすすめられます。これは食事で摂取するブドウ糖を減らすだけでなく、運動によってブドウ糖の消費を増やして血糖値を下げようとするからです。インスリンの不足から筋肉が増えにくくなっている状態で、運動も不足すると、ますます筋肉が減ることになるため、糖尿病の予防と改善には運動が大切になってくるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕