健康長寿を考えるときに「PPK」という言葉が使われます。これは「ピンピンコロリ」を略したもので、1980年代に始まったピンピンコロリ運動に由来しています。「病気に苦しむことなく、元気に長生きして、コロリと死のう」という天寿を全うすることを意味する標語です。
病気だけでなく、長く介護を受けることは本人にとっても家族にとっても苦しいことで、苦しさと不安を抱えた期間を、できるだけ短くしたいと考えるのは当然のことです。日本人は男女平均で世界一の長寿国ですが、長生きした分だけ医療と介護の世話になって晩年を過ごす人が多いのは事実です。
医療や介護に頼りきりにならずに自由に動ける期間である健康寿命は、男性が72.68歳、女性が75.38歳です(2019年)。その当時の平均寿命は男性が81.41歳であったので、その差は8.73年、女性が87.45歳であったので12.07年となっています。
そんなにも長い期間を医療機関や福祉施設、家庭から出ることができないまま過ごすことに抵抗がある人は多く、病気や身体の不自由さに苦しむことがない方法があるなら、それを目指したとPPKを考えるのも不思議ではありません。
しかし、PPKがかなえられたとしても、健康寿命と同じ年齢までしか自由に動けないということでは、“人生100年時代”と言われる中、あまりにも悲しいことです。そうではなくて、平均寿命を超えても元気で過ごして、病気知らずで、苦しむことなく最期を迎えるということを目指すべきです。
病気になったとしても自力で改善できる状態の“未病”を保ち、足腰も歩くことに不自由がない状態で、認知機能も正常ということを目指すためには、できるだけ早くから健康のために積極的に行動を起こすべきです。
その取り組みの成果が現れるまでは10年ほどはかかるとされていることから、健康寿命の10年前、つまり男性なら62歳から、女性なら65歳からは始めたいものです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕