腸内細菌の善玉菌と悪玉菌の関係について研究したのは、義父が大手乳業メーカーの研究所出身の薬学博士であったこともあるのですが、きっかけは臨床栄養の世界で仕事をしているときに経験したことでした。
栄養指導では、身体を正常に保つことを考えて、バランスよく食品を摂ることをすすめます。それぞれの人に適したバランスであるわけですが、それが腸内細菌のバランスを崩す結果になることに気づかずに指導している人が少なからずいます。
善玉菌と悪玉菌は主に栄養源(エサ)になる食品が違っているので、身体によいはずの食品が悪玉菌を増やすことにもなっているのです。そんな指導を、私も受けたことがあります。そのときは研究のことは明かさず、素直に聞いている人を演じました。
善玉菌も悪玉菌も、やっていることは同じで、栄養源を取り入れて、内部で代謝して、代謝によって発生した物質を外に出しているだけです。
その代謝物質が人間にとってよいことをするものを善玉菌、よくないことをするものを悪玉菌と分類しているだけです。
自分は同じことをしてきただけなのに、世のためになること、周囲に喜ばれることをしようとしているだけなのに、悪玉菌の扱いをされることもあります。
腸内細菌には、腸内環境によって善玉菌と同様の働きをすることもあれば、逆に悪玉菌と同様の働きをすることもある日和見菌も存在しています。腸内環境がよい人では「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」の割合とされています。日和見菌が善玉菌と同様の働きをするのは、腸内に善玉菌が多い環境のときです。
自分は善玉菌のようでありたいと無理をするよりも、日和見菌が善玉菌とともに活躍できる環境に身を置くことではないか、と他人にアドバイスしてきましたが、自分でも実践を始めました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕