脳の健康寿命96 認知症のリスクを高める高血圧

高血圧は認知症のリスクを高めることから、血圧を安定させることは認知機能の維持にも大切なこととなります。
高血圧であることが指摘されると、塩分を控えた食事を医師や栄養士から言い渡されることが多いことから、塩分に含まれるナトリウムが高血圧の原因と思われがちです。しかし、ナトリウムによって血圧が上がるタイプであるナトリウム感受性が高い人は高血圧患者の30%ほどだと言われています。ナトリウム感受性が高くない人はナトリウムを多く摂っても、それほど血圧が上昇しない特徴があります。
高血圧を引き起こす遺伝子はまだ確定されていませんが、内臓脂肪が増えたときに脂肪細胞から多く分泌されるアンジオテンシノーゲンが関係することが証明されています。アンジオテンシノーゲンは血液中でアンジオテンシン変換酵素の作用によってアンジオテンシンⅠを経てアンジオテンシンⅡに変わっていきます。
アンジオテンシンⅡには強力な末梢血管収縮作用があり、余分なナトリウムを排泄する働きがあるカリウムを排泄させることから二重の理由で血圧が上昇しやすくなります。
アンジオテンシノーゲンの分泌量を増やす遺伝子があることが確認され、この遺伝子を日本人の多くが持っています。この遺伝子はナトリウムによって血圧を上昇させることから、ナトリウムを摂りすぎることによって高血圧になりやすいと考えられています。
高血圧を予防するための生活習慣の修正項目については、以下のことがあげられています。
1 減塩:6g/日未満
2 野菜・果物:野菜・果物の積極的摂取
3 脂質:コレステロールや飽和脂肪酸の摂取を控える
4 減量:BMIが25未満
5 運動:心血管病のない高血圧患者が対象で、有酸素運動を中心に定期的に(毎日30分以上を目標に)運動を行う
6 節酒:エタノールで男性20~30ml/日以下
7 禁煙:受動喫煙の防止も含む