「1日に1万歩を歩くのが良い」と少し前までメディアでも取り上げられていましたが、今では「1日に8000歩」が知られてきました。1日1万歩というのは昭和40年から言われ始めたことで、1万歩の歩行を普及する団体も設立され、「1日1万歩運動」が広まりました。
1万歩の根拠ですが、日本人が平均して1日に7000歩を歩いていた当時は経済成長から運動量に比べて食事の量が多くなり、エネルギー量にして1日に300kcal分が過剰になっていたことが、そのきっかけです。
歩行数と消費エネルギー量については体重や筋肉量、年齢による基礎代謝の違いなどによって異なってきますが、一般には1000歩を歩けば100kcalが消費されるという計算が採用されています。これに従って、300kcal分のエネルギー消費のために1日に3000歩を増やすことにして、1日に1万歩が目標として出されたわけです。
健康意識の高まりから一時期、歩行数は増えたものの、今では歩行数が減る一方で、厚生労働省が10年間の健康づくりの目標値として掲げた「健康日本21」(平成12年から10年間)を始める段階では、男性が約8000歩、女性が約7000歩となっていました。これを1万歩に増やすのは現実的ではないとして、目標として現状より1000歩を増やすことが示されました。国民的な健康運動ということで目標の達成が期待されていましたが、10年が経過してからの結果を見ると、逆に800歩ほど減っていました。
これを受け実施された「健康日本21(第二次)」(平成25年から10年間)では、1200〜1500歩を増やすことが目的として掲げられています。これは歩数が減った分を補うとともに、現実を踏まえて無理のない歩数として示されたものです。現状(平成27年)では男性は約7000歩、女性は約6200歩だったので、男性は8500歩、女性は7700歩を目指す必要があることになります。