カルシウムというと、骨のミネラルというイメージが抱かれがちです。確かにカルシウムは骨に多くの量が蓄積されています。カルシウムの量は体重の約2%を占め、そのうちの約99%が骨や歯にあり、約1%が血液や筋肉中にカルシウムイオンとして溶け込んでいます。カルシウムの作用としては、血液凝固、筋肉収縮、神経系の調整のほか細胞内外のカルシウム濃度の調整によって細胞の機能の調整、ナトリウム排泄による血圧調整、便通促進などです。カルシウムが不足すると骨粗鬆症や骨軟化症の不安だけでなく、さまざまな体調不良を引き起こすことになるわけです。
そこでカルシウムが含まれた食品やサプリメントを摂ることを考えることになるわけですが、これらに含まれるカルシウムは、そのままの量が腸から吸収されるわけではありません。1日の標準的な目標とされる650mgのカルシウムを食品から摂ったとすると、成人の吸収率は30%とされているため、吸収される量は平均して195mgほどとなっています。65歳以上の吸収率は20%にも低下します。
せっかくカルシウムを摂っても、胃や腸の中に野菜に多く含まれるシュウ酸があると、それと結びついてシュウ酸カルシウムとなり、結びついた分はカルシウムとして吸収されなくなります。そのため、シュウ酸が多い食事をすると、カルシウムの吸収量が低下することになるわけです。
腸から吸収されたカルシウムは血液中に入りますが、血液中ではカルシウムはリンとバランスが取られています。血液中のリンが多くなるとリン酸カルシウムとなって、身体に必要のないものとして排泄されるため、吸収されてもカルシウムが不足するようになります。リンは、食品添加物にリン酸塩として多く含まれているため、加工食品や清涼飲料水を多く摂る人は、リンの摂取が多くなってカルシウムが減少するようになるのです。