カルシウムが少ない上に吸収率が低い

骨粗鬆症の予防・改善のためにはカルシウムの摂取が必要という話をすると、どれくらいの摂取量か、カルシウムが多い食品を食べるだけでよいのか、という話はメディア関係者からもよく聞かれます。
1日に摂るべき栄養素の摂取量は「日本人の食事摂取基準」に掲載されています。それによると、以前はカルシウムの1日摂取基準は30歳以上では男女ともに600mgとされていましたが、今ではカルシウム不足の現状から650~800mgを摂るようにと摂取量の目標が高められています。1日に体内で必要になるカルシウムは180mgで、これを下回ると骨に蓄積されたカルシウムが溶け出て使われます。カルシウムの吸収率は30%ほどなので逆算して600mgが割り出されました。これ以上のカルシウムが必要な人は摂取量が増やされています。
実際のカルシウムの摂取量について「国民健康・栄養調査」(平成27年統計調査)を見ると、男性は20代が473mg(充足率:800mg中の59.13%)、30代が443mg(650mg中の68.15%)、40代が459mg(650mg中の70.62%)、50代が493mg(700mg中の70.43%)、60代が550mg(700mg中の78.57%)となっていて、いずれも下回っています。
女性は男性よりも食事量が少ないことからカルシウムの摂取量は少なめですが、20代が427mg(650mg中の65.69%)、30代が430mg(650mg中の66.15%)、40代が454mg(650mg中の69.85%)、50代が499mg(650mg中の76.77%)、60代が568mg(650mg中の87.38%)となっています。
「国民健康・栄養調査」で男女別統計が発表されるようになったのは平成11年からで、その年には40代の女性の摂取量が540mgで、その当時は600mgが目標だったことから10%も不足していると警鐘を鳴らされたものです。それが今では650mgの摂取目標から35%も足りないという驚きの結果になっています。