日本人よりも欧米人のほうが血液の温度が高いのは、歴史的に主に食べてきたものが関係しています。日本人の主食は米飯で、副食のたんぱく源は魚介類と豆類を食べてきました。欧米人の主食はパンや麺類で、分類としては米飯と同じ糖質ではあるものの、“実際の主食は肉”と言われるほど欧米人は肉の消費量が多くなっています。
ステーキのサイズの一つに“ポンドステーキ”があります。1£(ポンド)の重量のステーキということですが、1£は450gに相当します。牛肉100g(脂肪付き)のエネルギー量は400kcalほどなので、450gだと1800kcalにもなります。欧米人は、これだけの量を食べることができるのです。そして、消費することができるのです。
日本人は肉類を多く食べてこなかったために、若いときには脂肪を分解して吸収できるようにする胆汁が多く分泌されるものの、年齢を重ねるにつれて分泌量が減って、肉を多くは食べられなくなっていきます。
欧米人が肉食になった理由ですが、ヨーロッパの文明は北方で発展したために、穀類を充分に摂ることができず、魚類も多くは食べられなかったことから、主なエネルギー源を肉類に頼ってきました。肉類には脂肪が多く含まれることから、脂肪を効果的にエネルギーとして血液の温度を高める能力が高まってきました。
脂肪は1g当たり約9kcalで、糖質とタンパク質の約4kcalと脂肪は2倍以上のエネルギー量となっています。この高エネルギー源のものを燃焼させる能力がついたことで、体温を高めることができたわけです。
脂肪をエネルギーとして燃焼させるために必要な成分として、体内で合成されるL‐カルニチンがあります。L‐カルニチンは肉類に多く含まれており、歴史的に肉類を多く食べてきたことで体内にL‐カルニチンが多く蓄積されていきました。このL‐カルニチンを蓄積して脂肪を多く燃焼させる体質は、同じ寒い環境で暮らす人たちに遺伝によって伝えられていきました。