医薬品の摂取について、お薬手帳を調剤薬局に持っていくことで割引になることや、一般の薬局・ドラッグストアで購入する医薬品が医療費控除になるセルフメディケーションなど、制度が変更になったことから、医薬品の情報がメディアで紹介される機会が増えています。
そのテレビ番組の中で気になったのが、薬を飲むタイミングです。食後に飲むことが指示された医薬品を飲む場合に、たまたま食事が摂れなかったときには医薬品を飲むべきか飲まないことがよいのか、というのは頻繁に出てくるテーマです。
番組では、医薬品は効き目が続く時間があり、食事が摂れない場合でも、食事の時間に飲むように、というのが解説をした薬学の大学教授の解説でした。一般論としては、そのとおりです。しかし、すべての医薬品において、そのとおりかというと疑問もあります。というのは、食事のタイミングで飲むというのは、医薬品の効果の時間を考えた場合のことで、食事と医薬品の関係については説明が足りないかもしれません。
空腹時に医薬品を飲むと吸収がよくなりすぎることがあります。医薬品の種類によっては、徐々に吸収されたほうがよい、というか、安全だということがあります。例えば、血圧を下げる医薬品、血糖値を下げる医薬品は、吸収がよくて効き目がよすぎると血圧が下がりすぎる低血圧、血糖値が下がりすぎる低血糖という副作用が起こることがあります。副作用が起こらないようにするためには、ゆっくりと吸収されることがよいわけで、食事を食べることができなかったときに飲むことは問題があることがわかります。
テレビ番組ではコメントの時間が短いこともあり、すべての情報を伝えることができないのはわかりますが、重要なことだけは伝えてほしいものです。
ここでは“飲む”と“摂る”という表現を使っていますが、飲むは医薬品に使い、摂るは食事に使っています。ちなみに健康食品やサプリメントは、医薬品で使われる“飲む”を使うと医薬品医療機器法に触れるために、“摂る”を使わなければなりません。