発達支援推進32 “点”の活動の重要性

一枚の画像を見ていると、それが一つひとつの点で構成されていることを、ついつい忘れがちになります。画像をプリンターを使ってプリントするときに、今ではインクジェット方式で一定の範囲でプリントしていくのですが、プリンターから出てきたときには全体がプリントされているので、やはり点の存在は忘れてしまいます。

プリントの方式がインクリボン(長い帯状のフィルム)であったときには、リボンの幅でプリントされるので、線でプリントしていく感覚がありました。

プリンターよりも点・線・面でいう印字がわかりやすいのは、FAXかもしれません。

送信側は画像データを線で読み取って、黒と白の点で電気信号に変えて送信します。受信側は、電気信号を黒と白の点に変えて、印字していくと線で表示ができます。この線を積み重ねていくことで、面で表示することとなります。

今のFAXは、線で点の黒と白を読み取って、印字も一遍に線でしていきます。そのためにA4サイズ1枚で1分もかからないのですが、以前は6分もかかっていました。

通信社にFAXが導入されたばかりのときに、素晴らしいものができたというので学生時代に見学させてもらったときには早くてもA4サイズ1枚で30分はかかっていました。時間はかかっても世界のどこからでも通信文を送ることができるというので、画期的な通信機器でした。

どうして、そんなにも時間がかかったのかというと、点で読み取って、点で印字していたからです。A4紙を筒に巻きつけて、点でなぞっていきます。これは筒型の蝋管を針でなぞって音を再生する初期のレコードと同じ仕組みです。

点で何が起こっているのかを読み取り、1本ずつの線で再現したときには何が書かれているのかはわからなくても、面になったときには真実の姿が見えてきます。

話が長くなりましたが、発達支援について面で全体像を見るときには、すべてが点の出来事が再現されているという意識を持って見ていくこと、分析していくことが重要だという話をするときの例としてあげていることです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕