エネルギー代謝58 エネルギーがエネルギー代謝を進める

身体のエネルギー代謝は、飲食によって摂取したエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が消化・吸収されて、それぞれブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸に分解されてから細胞の中のミトコンドリアに取り込まれるところから始まります。

ミトコンドリアで発生したエネルギーは、その細胞の中だけで使われます。電気のようにほかに流れていくことはありません。

神経細胞は長い形をしていて、端まで伝えられた電気信号に応じた神経伝達物質が放出されます。神経細胞と次に情報が伝えられる神経細胞との間には隙間があって、この離れたところを神経伝達物質が伝わり、次の神経細胞を刺激して情報として伝わっていきます。このように、あたかも神経の電気信号が流れていくように見えても、あくまでも細胞の中だけで処理が行われています。

全身の細胞は、それぞれの部位(臓器や器官など)の役割を果たしていて、その働きは生化学反応によって起こっています。細胞があって、その中に化学物質などがあれば生化学反応が起こるわけではありません。細胞の一つひとつは、細菌が単細胞で生きているのと同じように、独立して動いているわけですが、その動きのためにはエネルギーが必要になります。

エネルギーは細胞の中で作られて、そのエネルギーを使って細胞の生化学反応が起こっています。その生化学反応によって、ミトコンドリアにエネルギー源が取り込まれて、エネルギー化されています。つまり、細胞の中で作り出されたエネルギーが、次にエネルギーを作り出すためにも使われているということです。

大きなエネルギーを発生させるためのエネルギー源は脂肪酸ですが、脂肪酸がエネルギー化するまでには時間がかかります。その時間を短くして、多くのエネルギーを作り出すためには、早くエネルギー化されるエネルギー源が必要になります。そのエネルギー源はブドウ糖です。

糖質制限によってブドウ糖が減りすぎると、エネルギー代謝が進みにくくなります。糖質制限をするにしても、あまり減らさないようにすることが大切です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)