発達栄養講習45 母親の栄養状態と子どもの成長

母親の栄養状態は、子どもの栄養状態に大きな影響を与えます。この事実については、母乳栄養で語られることが多くて、母親が食べたものが母乳として子どもの栄養になるという認識が一般にはされているようです。

母乳の材料は、母親の血液です。血液が乳腺で母乳に作り変えられています。その事実から、母親が食べたものが血液の中身になり、その栄養バランスがよくないと母乳に含まれる栄養も偏りが生じるという考え方をされています。

母乳だけから栄養摂取をしている赤ちゃんの場合には、栄養摂取のほとんどを母乳に頼ることになり、母親の健康状態を左右する血液の状態が、そのまま赤ちゃんの栄養状態、健康状態に影響することになります。

これに対して厚生労働省の考えは少し違っています。妊娠中の栄養状態が胎内の子どもの成長に影響を与えるという考えの、さらに先に行っていて、妊娠前からの栄養状態が子どもの健全な発育に大きな影響を与えるということで、「妊産婦のための食生活指針」のほかに「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」も発表しています。

これは食事の内容は、大きな意識変革である妊娠ということをきっかけにしても、実は起こりにくいし、改善しにくいということから、“妊娠前”もっと言えば“成長過程”の子どものときの食事から見直すことが重要という考えがあります。

発達栄養は、出産後から始める母乳や調整乳の栄養摂取を踏まえて、自分で食べるようになり、食べるものを選択するようになってからをメインの対象としているものの、母親の栄養状態が子どもの発達に大きな影響を与えているとの認識で、その研究も進めています。

発達栄養の講習では、まだ母親となる女性の栄養までは踏み込んではいないのですが、子どもの成長に関わることに気づいた女性からは、当然にように母親の栄養状態と子どもの健康状態、影響を受ける状態で生まれてきた子どものために何をすべきなのかという質問はあります。

そこで発達栄養アドバイザーには、特別講習として母子の栄養についても実施することにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕