健康食品の法規制5 法規制を逆手に取った広告

健康食品に関する規制のために正しい情報が伝えられず、販売に苦慮する企業は少なくありません。規制に従うなら、誰に適した商品なのか、どれだけ摂ればよいのか、いつ摂ればよいのかも伝えることができず、せっかくの製品の実力が発揮されないまま、消費者に有効性が判定されるということが起こっています。

機能性を述べて販売できるのは保健機能食品に分類される特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品の3種類だけです。保健機能食品であっても、医薬品的な効能効果を述べることは許されず、また用法用量(摂取タイミング、摂取量)を表示することもできません。

その制度を逆手に取るような形で、有効性も用法用量も言えないのだからとイメージを先行させて、有効性が優れていると言いにくいような製品を販売している事業者がいるのも事実です。

医薬品的な有効性を述べられないにも関わらず、健康食品を購入する消費者は、その製品が何に対して有効であるか、ある程度は知っています。機能性表示食品に使われている素材と同じ種類の素材が使われていれば、機能性表示食品の機能性を参考にして、血圧用なのか血糖用なのかといった推定をすることはできます。

それ以外の素材の場合には、ネット情報に数多く出ているので簡単に検索できます。健康食品の中心ターゲット層の高齢者はネット検索に慣れていなくても、雑誌や冊子などの記事で目にする機会が多いので、これも推定しやすい状況です。

このような方法でなくても、知人や友人からの口コミ情報で、どの素材が自分によいのかがわかっている人も増えてきていることから、イメージ広告だけでも製品の基本的な機能は伝わるという状況です。

それだけに、今の規制に基づいた監視や調査などは広告の効能効果かどうかの文字だけで判断するのではなく、写真・映像や図表などの全体的な印象も判断材料になっています。
しかし、まだ効能効果の文言のチェックを重視したコンサルタントもいて、文言だけをクリアすれば大丈夫というような指導もされていて、これが健康食品業界に混乱を生じさせることにもなっているのです。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕