食品は同じ種類なら同じだけの栄養素が含まれているわけではありません。そのため、同じ量を食べれば、同じだけ栄養摂取ができるとは言えないのです。同じ種類の野菜であっても、種や苗が違えば、生育環境が違えば、そして季節が違えば、同じ内容とはならないのです。
また、発達障害では神経伝達を進めるために多くのエネルギーが必要ですが、同じ種類のエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を摂取して、それをエネルギー化させるために必要なビタミン、ミネラル、代謝促進成分が同じであれば、同じだけのエネルギーが作り出されるわけではありません。
この変化に必要な酵素の違い、エネルギー化させる効率も個人によって違っていて、特に発達障害では機能の凹凸が大きいことから、重要なエネルギーの量も違ってきてしまいます。
さらに考えておかなければならないのは、妊娠中に胎児に与えられる栄養素の量の違いです。脳を成長させるためには、多くの栄養素が必要で、それが不足するようなことになると脳の発達にも影響が出てきます。その栄養素が不足したことが発達障害の原因だと断定して、その摂取がすすめられることがあります。
その説が正しいのか間違っているのかは別の機会に触れることにしますが、妊娠がわかってから必要とされる栄養素を摂取したら、それで大丈夫なのかというと、これには疑問が抱かれています。妊娠する前の女性の栄養状態が胎児を育てていく機能にも影響をするので、妊娠の前、それもできることなら成長期の段階(20歳前)から栄養が不足しないことが重要になります。
厚生労働省は「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」を発表しています。それには妊娠前の栄養状態が、いかに重要であるか書かれています。その栄養摂取が悪かったから、発達障害がある子どもが生まれるわけではないとしても、少なくとも子どもの成長に影響を与えることだけは間違いありません。
だから、DNA資格認定講習では栄養摂取の重要性を伝え、資格認定者に対して母子の栄養に関する情報発信もしていくのです。
〔発達栄養指南:小林正人〕