エネルギー代謝66 代謝を低下させる高血圧

血圧が高いと、強い圧力で血液を押し出しているので、臓器や器官、全身の細胞にも血液によって運ばれる栄養素が効果的に押し込まれているのではないか、と思い込まれることがあるのですが、これとは逆のことが起こっています。逆というのは、血液によって運ばれている栄養素が充分に細胞に取り込まれていないということです。

血圧は心臓から送り出された血液が動脈にかけている圧力のことで、これが高まりすぎたのが高血圧です。通常の血圧で、血液は全身を巡るようになっているのですが、その圧力では血液が充分に送られていかない状態になると、心臓から送り出すときの圧力が高まります。

動脈硬化が進んで、血管の弾力性が失われてくると血圧が上昇します。これは血管の変化が原因ではあっても、心臓から送り出されるときの圧力が高まることになります。高血圧が長く続くと心肥大といって心臓の筋肉が厚くなることが起こりやすくなります。そのために心臓のポンプ作用が低下して、充分に血液が送られなくなることも起こります。

この心肥大も、心臓の圧力が高まって、筋肉が鍛えられたのと同じような状態になっていることがわかります。

血流が充分でないために高血圧が起こっているので、全身の細胞に栄養素と酸素を届けるために送られている血液が少ない状態になっています。実際には血液の巡りがよくない状態で、通常であれば心臓から送り出された血液は秒速1mの速度で、わずか30秒間で心臓に戻ってきます。

血流が低下していると、細胞の代謝に必要な酸素とビタミンが減ることになり、エネルギー代謝が低下することになります。代謝のためにはビタミンC以外の、すべての種類の水溶性ビタミンが必要になるので、できるだけ多くの栄養素が摂取できるように、さまざまな食品を食べることがすすめられるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)