使用前・使用後の状態を伝えることは法規制の対象とされると言われていますが、それは比較することと、比較する内容(検査結果など)によって対応が異なります。例えば、よくあげられるのがダイエットに関する健康食品やサービス(運動や美容系の手技など)で、体脂肪が多かったときの数値(体脂肪率や体重)や画像を示して、健康食品やサービスを利用した後の結果と比べて、有効性・優良性を主張するものです。
太っていることは病気ではないので、ダイエットによってやせることは医薬品医療機器法の規制には該当しません。それを知っていてダイエットの使用前・使用後を比較する人がいるのですが、その示した数字や画像が真実と異なるものだと、これは景品表示法や健康増進法で規制されている不実表示、虚偽表示となります。
実際には数か月かけた結果なのに1か月の結果と示したり、今どきは画像の加工が簡単にできるので、実際よりもスリムに見せるといったことがされています。本来なら規制されないはずのダイエットで取り締まりが行われているのは、要は言い過ぎだということです。
使用前・使用後で取り締まられた例として最も多いのが、膝の軟骨の再生です。軟骨が磨り減った写真を示して、通常の状態の軟骨の写真を並べて健康食品の効能効果を伝えようとしているわけですが、健康食品を使う前にレントゲン画像を撮って、それを持っている人は少なく、改善した結果と比較するというのは、あまりないことです。
健康な状態の写真と、軟骨がすり減った状態の写真を他から持ってきて、それを使っているのは明らかですが、この膝軟骨の改善は医薬品に認められているものなので、健康食品で表示することはできません。
以前に、健康な状態の膝の写真を出して、すり減った状態では、このようになるということで比較写真を表示して取り締まられた例があります。当事者の言い分としては、通常の状態からすり減った状態を示すために矢印(→)を使ったのですが、校正の段階で矢印の向きが逆になっていたことに気づかなかったということでした。
よい状態と比較して悪い状態では膝の軟骨が磨り減っていると示すつもりだったのに、悪い状態から軟骨が戻ってよくなったということを示す矢印になってしまった、という言い分というか言い訳でした。
〔健康情報流通コンサルタント 小林正人〕