糖質過剰で中性脂肪値が上がる仕組みについて前回、紹介しました。それに続いて今回は表題にあるように「脂質過剰で血糖値が上がる」ことについて書いていきます。仕組みについては同じなのですが、見た目で起こることが違っているので、あえて書き残すことにしました。これは生活習慣病の合併症にも関わることです。
脂質過剰というのは、中性脂肪が多く含まれる食品を食べすぎることを指しています。中性脂肪は脂肪酸が3個結びついた貯蔵タイプの脂肪のことで、食品に含まれている脂肪の基本的な形状です。私たちの身体の脂肪細胞の中に蓄積されているのも中性脂肪です。
中性脂肪は体内で消化されると脂肪酸に分解されて吸収されます。脂肪酸としてエネルギー化されなかったものは肝臓で中性脂肪に合成されます。エネルギー源として使われずに余分となったものは中性脂肪になって、脂肪細胞に蓄積されていきます。
そして、体内で必要な脂肪酸が不足したときには、脂肪細胞の中の中性脂肪は分解されて、脂肪酸として血液中に放出されます。
脂質過剰になると、肝臓では中性脂肪を多く作り出すために膵臓からインスリンが多く分泌されます。インスリンは血糖値を下げるホルモンとして一般に知られていますが、余分なエネルギー源を取り込むためのホルモンで、ブドウ糖が多くなったときには細胞に取り込ませることと同時にブドウ糖を脂肪酸に合成するように働き、中性脂肪が多くなったときには中性脂肪を脂肪細胞に取り込ませるように働きます。
日本人は歴史的に低栄養の時代が長かったことから、インスリンが多くは必要ではない民族で、膵臓の働きも弱くなっています。脂肪の摂取が多くなると(77年前の終戦後に比べて肉食は6倍以上に増加)、それだけインスリンが多く必要になります。脂肪細胞に取り込むべき中性脂肪が多い間は膵臓はインスリンを分泌し続けます。そのために膵臓が疲弊して、急にインスリンが多く分泌されなくなります。
そのためにブドウ糖も細胞に取り込まれなくなって、血糖値が高くなりすぎます。そのために糖尿病になりやすいのが日本人の体質なのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)