発達障害の理解のためには、広く、それが浅くても多くの方に伝えて考えてもらう機会を設けることが大切だ、ということは、これまでも何度か書いてきました。
認知症については、社会的な理解を進めるために、認知症サポーター制度があり、国が主導して活動を進めています。特別のことをしてもらうことを期待しているわけではなくて、まずは個人でできることから着手してほしいという願いで始まったことです。
それと同じことを発達障害でも進めてほしいということを願って、活動を始めたのは3年前のことです。多くの方々に伝える前に、まずは支援する立場にいる(はずの)方々に理解してほしいのですが、用語も存在も知っているけれど、具体的なこととなるとわかっていない、ましてや具体的な支援となると考えが及ばないということは、複数の自治体の方々と話をしてきて感じていることです。
認知症患者は超高齢社会を背景に600万人を超えています。それに対して、発達障害児は10人に1人の割合で存在していることがわかっていて、その特性は生涯にわたって変わることがないので、全国民の10%、つまり認知症患者の2倍も存在していることになります。
発達障害は、身体的な障害と違って、外見ではわからないということもあり、これが理解につながらない理由の一つとなっています。また、発達障害は当事者の困難さが見えにくく、困難さがわからない人には、どうしても他人事(ひとごと)になりやすく、自分事のように考えることは難しくなっています。
発達障害サポーターの推進を訴える活動は、自治体に頼ることなく、民間で始めて、それぞれの関わりの中から理解を進めることを始める、そして自治体が“できるところから支援する”という考えで応援してもらえればと考えているところです。
〔発達支援推進協議会 小林正人〕