エネルギー代謝69 酸素不足によるエネルギー低下

体内でエネルギーを作り出すには酸素が必要です。酸素がなければエネルギーが作られないようなことが言われることがあるのですが、正確にいうと酸素がなくてもエネルギーは作られます。ただ、そのエネルギー量は少ないので、かろうじて生命維持ができる程度のエネルギーしか発生していません。

体内でエネルギーを作り出しているのは、細胞の中にあるミトコンドリアというエネルギー産生器官です。非常に小さなものですが、数が多くて、全身のミトコンドリアを集めると全体重の10%を占めるほどにもなっています。それだけ重要な器官だということです。

ミトコンドリアの中でエネルギー代謝が行われるときに必要な化合物はアセチルCoAで、これはブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸が変化して作られています。アセチルCoAはミトコンドリアの中のTCA回路に入ってからクエン酸になり、そこから9段階の化学変化をして、またクエン酸になります。この1周の間にエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が作られます。

このTCA回路でのエネルギー産生には酸素が必要で、ブドウ糖を例にすると1分子について36分子のATPが作られます。酸素がなかった場合には、TCA回路の外側で2分子のATPが作られます。いかに酸素を使ったエネルギー代謝が必要かということがわかります。

酸素が不足した状態では、エネルギー源のブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸がミトコンドリアに取り込まれたとしても多くのエネルギーは作られなくなります。運動をして多くの酸素を吸い込むと、多くのエネルギーが作られます。

では、酸素が不足した生活をしていると、どうなってしまうのかというと、同じように身体を動かしていてもエネルギーの発生量が減ってしまいます。成長のためにも、健康を維持するためにも必要なエネルギーが多くは作られない状況になったのは、コロナ禍の3年間のマスク生活です。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)