医療機関にかかる回数を減らすことが一時期、多くの健康保険組合や自治体で検討されたことがあります。重病になって多くの医療費と治療の期間をかけることがないように、早期発見、早期治療を心がけるということで、積極的に医療機関を活用するということでした。
ところが、中には何か勘違いをしたようなところもあって、医療機関に行くことを控えるかのような推奨がされたこともありました。
早期に発見できれば重症化することなく、元の状態に戻ることもできます。医療機関を利用して、医薬品なども使ったとしても、自分の努力(食事や運動、生活習慣の見直しなど)によって改善できる状態では、それほど多くの医療費はかかりません。
ところが、自分の努力が通じないようなところまで進んでしまうと、医療に頼るしか方法がなくなり、そのときから医療費は増える一方となります。生涯医療費のピークは75〜80歳となっていますが、これを低く抑えるためには、できるだけ早い段階で健康づくりに取り組むことが求められます。
そのためにも不安を感じたときには、迷うことなく医療機関で検査を行うことです。自分の治癒力を信じて、自分なりの努力をするのはよいことではあっても、検査をしないことには自分の状態を知ることも、どのような対策を取ればよいかも知ることはできません。
医薬品の使用が必要な状態であっても、弱い医薬品、少ない使用量で済む段階での治療は、生涯にわたる健康度を高めるためには重要な位置づけとなります。
日本の医療制度は“出来高払い制度”です。通院回数が多いほど、医薬品の数が多いほど、入院日数が長いほど多くの医療費を支払わなければなりません。これは当たり前のことのように思われているかもしれませんが、アメリカでは“定額払い制度”が基本となっています。
日本の医療制度を変えるわけにはいかないとしても、定額払い制度から見習って、自分でできることを取り入れるという行動は、個人レベルでも市町村のレベルでも実施することはできます。
そのことによって地域の医療費を抑制して、生涯医療費を抑えることもできるはずです。その行動を起こすためにも、医療の実態と医療費の仕組みについて知っておくことが大切だと考えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕