「エネルギー代謝は全身の細胞の中で行われている」との説明は、私たちも生理学講習の中で話していることです。「全身の細胞の中にはミトコンドリアがあって、その中で生命活動に必要なエネルギーが作られている」とも話しています。
これは概ねは正しいことであっても、正確な話となると、ちょっと違ったところがあります。全身には60兆個以上の細胞があって、身体を直接的に構成する細胞ということでは細胞の中にエネルギー産生器官のミトコンドリアがあって、エネルギー源を取り込んで、酸素を用いてエネルギー代謝が行われています。
全身の細胞というときには、2つの考えがあって、1つは身体を構成する細胞で、もう1つは身体を流れている細胞です。後者の代表的なものは、血液成分の赤血球と白血球です。全身の細胞と言われたときには、身体を構成する細胞だけなのか、それに血液成分も含まれているのかを確認すべきです。
先に白血球から説明すると、白血球は独立した細胞で、エネルギー源を取り込んで、免疫機能を発揮しています。免疫には白血球のミトコンドリア中で作り出されたエネルギーが使われているわけです。
赤血球のほうは、骨髄で誕生したときにはミトコンドリアはあるものの、それが失われて酸素を運ぶ役割をするようになります。ミトコンドリアは酸素を用いてエネルギー源からエネルギーを作り出しているので、ミトコンドリアがあったら酸素を使ってしまい、酸素を運ぶという役割ができなくなってしまうからです。
このことからいうと、全身の細胞にはミトコンドリアがあって、エネルギーを作り出しているというのは、実際に正しくはないということになります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)