臨機応変というのは、何が起こるかわからない時代には最も適した対応法を表す言葉だと思うのですが、この意味を勘違いして、適した対応ができなかったという例はコロナ禍の厳しい経済状況の中で見られたことです。
臨機応変は、機(事態)に臨んで変化に応じて適当な対処をすることを意味しています。型通りの対応ではなく、前例に合わせるだけでなく、時と場合に合わせた柔軟な対応をすることです。
コロナ禍に限らず、想定をしていなかったことや、いつ収まるかわからない状態に直面したときには、生き残りのために何でもやらなければならなかったはずですが、「前例がないからやらない」とか「やっても困難な状況では成果が期待できない」などといって後手後手になった例も数多く見てきました。
危機的な状況を乗り切るために、「臨機応変に行く」と社員に打ち出した経営者もいました。できることは何でもやってみるという発言に、心強さも感じて頑張ったのに、うまくいかなかったと嘆いて、その会社を辞めた方から話を聞く機会がありました。
臨機応変と言いながらも、打ち出した手が、どれもうまくいかず、もう少し頑張ればよいのにと周りが感じているときに、途中で諦めて新たな方法を始めるといった具合です。これを経営者は臨機応変の対処と思っていたようですが、会社を去った人に言わせると「行き当たりばったり」でしかなかったということでした。
その場の成り行きに任せて無計画に行動を起こすのが行き当たりばったりです。行動を起こすことはよいとしても無計画であってはいけないのであって、本人は計画があると思っていても、会社の強みや実績、周囲の評価など、どんな状況になったとしても変わらないことを重視しない行動は、一時的にはよい結果であったとしても継続しにくいものです。
その経営者は決断力があると業界でも評判だった方だったのですが、“平時の将”でしかなく、“有事の将”ではなかったようです。
まだ何が起こるかわからない時代には、トラブルにもストレスにも強い“有事の将”が求められるし、それをリーダーは目指して行動を起こすべきだと強く感じています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)