失われた30年という言葉は、その間に生まれた子どもたちにとっては、とんでもない期間ということになります。実質の給料が30年間も上がらなかったのに、円安も進み、どんどん得る金額の価値が下がっていくのは、まだまだ続きそうな気配です。
30年間のうちに増えたものとしては、平成18年(2006年)から発達障害児の統計が発表されるようになりましたが、当時は4万人だったのが令和2年(2021年)には14万人と急激に増えています。この理由などについては、発達障害支援のコラムで触れています。
給料のほうは上がっていなくても、物価のほうは上がり続けています。その指標の一つとされるのが電車の運賃で、東京・山手線の初乗りが基準とされます。私が地方から上京して大学に通い始めた1974年には初乗り料金は30円でした。これは1969年に上がったままでしたが、1976年に60円に2倍に値上げされ、上昇率はなんと100%でした。今ではあり得ない上昇率でしたが、給料も上がっていたので暴動は起こりませんでした。
その後も値上げは続き、1978年には80円(33%上昇)、1979年に100円(25%上昇)、1981年に110円(10%上昇)、1982年に120円(7%上昇)、1989年に130円(8%上昇)と上昇率は下がったものの、気づいたら4倍以上になっていました。
30年間、実質の給料が上がっていないのに、ここまで上がったので、しばらくは値上げしたくても我慢をしていたのですが、2014年に140円(7%上昇)、2023年に150円(7%上昇)となり、10円ずつ上げるのがやっとという状況になりました。
料金が上がったら、その分、購入者が減るのは経済の根本的なところですが、運賃が上がったからといって利用しないわけにはいかないのが交通費です。これをバロメーターにしてみると、厳しい世の中は、まだまだ続くことのは当然のように予想されることです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)