発達障害支援29 「苦手を埋めても普通になるだけ」の発想

発達障害は脳機能の発達に凸凹(でこぼこ)があり、それが生きにくさにつながることから、困難さを抱えている部分の凹を埋めることが、これまで第一に考えられるところがありました。

普通にすることが優先されてきたということですが、“普通”という表現には抵抗を感じる人は多くいます。それは発達障害がある人や、その保護者だけでなく、発達障害児・発達障害者を支援する人にも強い違和感がある言葉です。

医学的な改善が必要とされる状態では、凹を埋めて“普通”の状態にすることが治療の成果となります。発達障害児を支援する施設においても、“普通”を目指し、その達成度が評価されています。

それは事実ではあっても、“普通”にするように埋めることが、すべての方に望まれているわけではありません。それぞれの子どもは持って生まれた能力があり、それを引き出してあげることが発育・発達の支援であるべきです。

「苦手を受けて普通にする」ということではなくて、「苦手を埋めても普通になるだけ」の考えをもって、得意とすること(凸)を伸ばしてあげることにも力を注ぐべきです。

このことに同意してくれる人は多くいるのですが、凸を伸ばすことに意識が向かいすぎて、凹の改善が軽く見られることもあります。凹は、そのままでよいということではなくて、凸を伸ばすために必要となる凹を埋める行動は絶対に必要です。

そのための基本中の基本となることとして、私たちは発達栄養を掲げて、栄養の不足を補うだけでなく、発達のために必要となる栄養素の摂取は凹を埋めることに加えて、凸を伸ばすためにも重要であることを伝えています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕