肌とストレス8 ストレスで増える活性酸素

ストレスによって肌荒れが起こるメカニズムの一つに活性酸素の存在があります。活性酸素というと、体内に吸い込んだ酸素が通常の酸素よりも活性化されたものを指しています。詳しい仕組みはわからなくても、細胞を傷つけるもの、身体を老化させるものということは知っている方は多いと思います。

金属が酸化することにたとえて、細胞をサビさせるものと説明されることもあるのですが、活性酸素が発生することで肌に特に影響を与えるものがあります。それは紫外線で、紫外線を浴びると肌が老化しやすいことから、こちらのほうが理解しやすいかもしれません。

紫外線を浴びると活性酸素が発生するのは、酸素(O₂)が分解されてオゾン(O₃)が発生します。オゾンは紫外線を吸収すると分解されて、電子が一つ欠けて活性酸素となります。

通常の酸素はプラスとマイナスの電子が4つずつ対になっていて、バランスを取っています。マイナス電子が1つ欠けると不安定な状態になるため、他のところからマイナス電子を奪って元の状態に戻ろうとします。

これによって活性酸素は普通の酸素になるのですが、問題は電子を奪われたほうで、細胞から電子が奪われると、その細胞は破壊されてしまいます。これが紫外線を浴びると活性酸素によって細胞が破壊されて肌荒れが生じる仕組みです。

詳しいメカニズムは電子のやり取りなので難しいのですが、紫外線と活性酸素の関係を理解するには、このような説明でよいかと思います。

ストレスによる活性酸素の発生の仕組みは、紫外線による発生と少し違っています。

ストレスを感じると自律神経の交感神経の働きが強くなって血管が一時的に収縮します。そのために血液の流れが低下します。この収縮が解消されるときには、血流が盛んになり、多くの酸素が一気に細胞に運ばれるようになります。細胞の中では酸素を使ってエネルギーを発生させていて、急に酸素が増えると活性酸素も多く発生するようになります。

一般には吸い込んだ酸素の2〜3%が細胞の中で活性酸素に変化するとされているものの、急に酸素の取り込みは増えると活性酸素が増えてしまいます。活性酸素の発生は、細胞の中の不完全燃焼にたとえられます。細胞の中でブドウ糖や脂肪酸を取り入れてエネルギーを作り出しているのはミトコンドリアというエネルギー産生器官です。

ミトコンドリアは1〜2μmと非常に小さなものであっても、1つの細胞に200〜3000個もあり、全身のミトコンドリアを合わせると体重の10%にもなります。

それだけ重要な器官ということで、エネルギーを作り出すために酸素を取り込んだときには、活性酸素も多く発生させることになります。

活性酸素は、紫外線やストレスのほかにも過剰な運動、睡眠不足、農薬、化学物質、放射線、喫煙、排気ガス、高血糖状態などによっても多く発生します。活性酸素を発生させる原因から逃れられないだけに、いかに発生した活性酸素を消去するかということが必要になります。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕