血液検査によって中性脂肪値が高いことが確認されると、運動がすすめられます。どのような運動をすればよいのかということは、医療機関によって伝え方が違っています。医師が概略を話して終わることもあり、中には「歩くようにしてください」と言われるだけということもあります。
医師が概略を話した後に、運動の専門家である理学療法士や健康運動指導士がいるリハビリの担当部門に回されることがあります。リハビリなどでは有酸素運動としてのウォーキングの方法を教え、そのために必要な姿勢の確保、足づかいなども指導されますが、一緒に歩いて正しい歩行法を身につけさせてくれるというのは、あまり多くはありません。
歩くことがすすめられるのは、脂肪酸を主なエネルギーとして使って消費する筋肉である赤筋が刺激されるからです。中性脂肪は脂肪酸が3つ結びついたもので、それが分解されると脂肪酸となり、これが細胞のミトコンドリアに取り込まれて、エネルギー化されます。
ミトコンドリアは多くのエネルギーが必要な細胞に数多く存在しています。特に多く存在しているのは筋肉(骨格筋、心筋)、肝臓、脳です。筋肉が多ければ、それだけミトコンドリアも多くて、脂肪酸を多くエネルギー化することで、血液中の中性脂肪を減らしていくことができるようになります。
日本人は筋肉が増えにくい体質ではあるものの、赤筋の割合が高くて、70%ほどを占めています。それだけ赤筋を積極的に動かすことで脂肪酸を多く消費できる特徴があります。筋肉量は増えなくても、日本人の場合は歩くことによって脂肪酸を減らして中性脂肪値を抑えることができるようになるのです。
歩くといっても速度が大切で、普通歩行よりも速歩のほうが酸素を多く筋肉に取り込んで、酸素を使って脂肪酸のエネルギー化を進めることができます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)