健康リテラシーを向上させて、数多くの情報の中から正しい情報を見抜き、自分にとって有意義な情報を選択する能力を高めることは、健康づくりの基本となります。健康リテラシーを高めるためには健康に関する知識のインプットが必要になってきますが、手始めに取り組んでもらいたいのは食事に関わる知識です。
日常生活に関わることで、その改善に取り組みやすく、自分の生活や身体の状態を実例として、何を学び、何を積み重ねていけばよいのかを知る機会として適していると考えられるからです。
ここでは“食事”という言葉を使っています。一般に健康づくりで使われる栄養をあえて使わないのは、食事は栄養素を摂るためのものではないと考えるからです。身体に必要な栄養素を摂って、健康の維持・増進のために不足が起こらないようにすることは大切なことです。栄養素の質と量が確保されているのは最低限の条件と言えます。
しかし、食べるものは餌(エサ)ではないので、食べる環境や食べ方も重要になります。食事の時間がないからと立って食べても、早食いをしても、噛まないで飲み込んでも身体に入ってくるものに変わりはないかもしれませんが、食べ方によって消化・吸収も変われば、身体機能への影響も変わってきます。
食べ方によって美味しさが変わり、美味しいと感じて食べることが身体機能に与える影響についても、さまざまな研究が行われてきました。
食べ方によって食べたものの中身が、どのように身体に影響を与えるかがわかれば、食事の環境への考えも変わってきます。その変化が長い期間で考えると、大きな違いになっていきます。
日本メディカルダイエット支援機構はNPO法人(特定非営利活動法人)としての16年間の活動の中で、栄養摂取の具体的な中身を求められることが多いことから、どうしても技術的、テクニック的なことの発信が多くなっていました。
食べ方の意識を高めることは、さまざまな健康に関する情報をインプットする機会になり、それが健康づくりに大きく影響を与えることにつながると考えているからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕