在家(ざいけ)というのは仏教では出家しないで、家庭で世俗の生活を営みながら仏道に帰依する人のことをいいます。在家と檀家(だんか)は同じように言われることがありますが、檀家は特定の寺院に所属して、その寺院に葬祭供養を任せる家のことで、その家の家族も檀家と呼ばれることもあります。
それとは違う在家という立場もあって、今から50年前の18歳のとき、東洋大学のインド哲学の教授と巡り合い、これを知ることができました。私は母の実家の浄土真宗の寺で生まれて、子どものときに親元を離れて寺で暮らしてきたこともあって、違う学部で学ぶ身でありながら学科の聴講もさせてもらい、在家信徒グループでも勉強の機会をもらいました。
東洋大学の創設者の井上円了先生は、新潟県長岡市(旧越路町)の浄土真宗の寺の出身で、新潟県は浄土真宗の寺院が最も多いこともあって、大学でも浄土真宗の開祖の親鸞聖人の教えについても学ぶ機会も多くありました。
50年前というと、ちょうど親鸞聖人生誕800年、開宗750年のときで、ブームということではなかったとしても、親鸞聖人への関心が高い時期でした。親鸞聖人の説く他の仏教との違いである一心に信心をすることを、私たちは“純粋真理”と呼んでいました。
浄土真宗の“真”の部分を追求することは卒業後も続け、それぞれの仕事をする中で在家信徒グループとして50年も交流を重ねてきました。
メンバーは住職や宗教関連の仕事をしている人もいれば、大学で教育に携わっている人もいるのですが、多くは仏教とは関係のない仕事をしながら“純粋真理”を学び続けて、実践もしている在家信徒です。
親鸞聖人は浄土真宗の布教を始めたときは、お寺はなくて在野で在家に語りかけていました。本願寺が創立されたのは入滅後のことで、親鸞聖人の時代には寺院制度のピラミッドはありませんでした。その時代に戻り、ピラミッド制度から解き放たれた“純粋真理”を追い求める寺院のない宗派のような活動をしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕