鶏が卵を産むのは毎日であり、1日に1個の卵が手に入る、と思われているようです。産卵用の鶏の原種である赤色野鶏は年のうち2か月の間に4〜8個の卵を産みます。子孫を残すための産卵なら、これで充分な数です。これを品種改良して産卵専用の鶏とすることで頻繁に卵を産むようになり、今から70年ほど前の戦後には年間100個程度になり、年間330個を産むところまで進化(?)してきました。生物学的には年間280個が限界とされてきたので、かなり頑張った結果です。
これを年間365個にという願いをかなえるために開発されたのが照明の調整です。鶏は明るい時間に活動して、そのときにしか卵を産みません。自然の日照では季節によって長さが異なるので、1日24時間を有効に使うためには日照時間を一定の長さにする方法が取られます。実際には日照ではなく電灯の光で、24時間のうち14時間は電灯の光で鶏舎を照らし、10時間は消灯します。ということは外からの光が入ってきてはいけないので、鶏舎には窓がありません。
このように調整することによって毎日、卵を産む鶏が可能となりました。そうなると、もっと産ませることはできないかと考える人もいて、1日を24時間ではなく20時間にして点灯と消灯の時間を決め、20時間ごとに卵を産ませる方法が考え出されました。
こうなると鶏には無理がかかり、普通にエサを与えたのでは卵の中に充分な栄養成分が入らなくなります。そこで“滋養鶏”のように滋養、つまり栄養成分を多く加えたエサを食べさせたり、黄身の色が薄くなることからエサに天然の着色料のパプリカなどを加える方法が使われています。
中には天然の着色料では黄身の色が濃くならないからと、卵黄着色剤という食品添加物も使われたものもあります。