健康を維持するための食事指導をされても、なかなか実行できないのは、努力が足りないとか、記憶力がよくないと指摘されることがあるのですが、それは大きな理由ではないと考えられます。最も大きな原因は食事指導のエネルギー量の単位にあります。
食事量を示すときには1単位が80kcalとして、どれだけの単位の量を食べるかが指導されます。エネルギー量と重量はイコールではなくて、エネルギー源の糖質、たんぱく質は1gあたりが約4kcalですが、脂質は約9kcalです。
食品は糖質、たんぱく質、脂質が組み合わされているので、それぞれの重量とエネルギー量を計算して、どれだけ食べればよいのかが示されます。ピッタリと単位が合っていれば計算しやすいのですが、重量が中途だとエネルギー量もわかりにくくなります。
なぜ1単位が80kcalになっているのかというと、普段から食べている食品の1食分のエネルギー量が80kcalだからだと説明されることが多いようです、しかし、実際に分量とエネルギー量を比べると、ほぼ100kcalに近くなっています。
80kcalの倍数に適しているのは生活習慣病やダイエットなどで摂取エネルギー制限をされている人のことで、それ以外の人にとっては、この量は「腹八分目」となります。80kcalの単位だと、1日に1700kcalが適切だとされた場合には、どれだけの単位を摂ればよいのか即座には計算しにくい状態です。
これが100kcalの単位であったら、計算しやすく、100kcalごとの量を覚えればよいので、食べる量が理解しやすくなります。手のひらに指4本(親指以外)を乗せて、手の厚さが肉でも魚でも100kcalほどのエネルギー量になります。
卵や芋は片手で軽く握れる分量が100kcal、野菜は両手の上に乗る分量が100kcalと考えることができます。ご飯は、普通サイズの茶碗で軽く盛ったのが200kcalほどなので、この半分が100kcalとなります。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕