運動後に入浴をするのは汗をかいたときの楽しみと感じる人もいて、フィットネスクラブなどでは運動後に入浴がセットになっていることもあります。入浴することによって、運動で高まった体温が長く保持されることになるので、代謝が高まるような印象が抱かれることがあり、脂肪代謝(体脂肪の分解とエネルギー代謝)が進むと感じている人もいます。
このことをフィットネスクラブの指導士に聞いてみたところ、脂肪の燃焼が進むので運動直後の入浴を推進している、体温を高く保つために熱めのお湯での入浴をすすめていると説明されたことがあります。
しかし、これは脂肪代謝ということでは逆のことをしていることになります。体温が上昇することで脂肪の分解が抑制されることになり、脂肪の代謝も低下していくことになります。その仕組みのキーは脂肪分解酵素のリパーゼの特性です。
リパーゼは筋肉の中にあって、中性脂肪を脂肪酸に分解する働きがあります。脂肪酸は細胞の中で代謝器官のミトコンドリアに取り込まれて、エネルギー化されます。脂肪分解が進めば、それだけ脂肪代謝が進むようになります。
リパーゼは筋肉の温度が高まると活性化して分解が進むようになるものの、温度が高まりすぎると活性が低下します。そのために筋肉が温まると汗が出て、筋肉の温度を下げようとします。
運動後にはリパーゼが活性化している間は、脂肪の分解が進みます。その時間は30分ほどとされています。ところが、運動後に入浴して筋肉の温度が高まるとリパーゼが働きにくくなって、分解が進まなくなります。
これに対応するためには、運動後はシャワーだけにしておきます。シャワーは筋肉までは温めないのでリパーゼの活性に影響はありません。そして、30分が過ぎてから入浴することがすすめられます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕