「思考錯誤」と書くと、それを見た人の反応は大きく二つに分かれます。一つは試行錯誤の書き間違い(変換ミス)との指摘で、もう一つは思考錯誤という言葉の意味を考えようとすることです。
どういうことを言いたいのかを考える前に、言葉の意味合いから知って、そのことから健康をデザインすることに役立ててほしいという思いがあって、まず「思考」とは何かを説明させてもらいます。
思考は考えること、周りの事態に応じで解決していくことで、何か事が起こったら、ああでもない、こうでもないと考えを巡らすことは大切なことです。決して無駄な時間ではなくて、即断することが実行のためには最も重要ということでもありません。
考えることなしに、自分の勘や過去の経験を頼りにして即断するのは、思い違いや勘違いであることでもあるのです。これを指した造語が「思考錯誤」です。
「試行錯誤」は、試みと失敗を重ねて解決していくことで、いわゆるtry&errorと同じ意味合いで、挑戦と挫折と訳されることもあります。挑戦と挫折の連続で成功に近づいていくことが重要であって、解決のための考えなしでは失敗という結果で終わりかねません。
新たなことを取り入れないことには自分が成長しない、解決しないという思考で、挑戦に次ぐ挑戦を繰り返している人もいます。そして、望むような結果につながらなかったと簡単に切り捨てて、また新たなことに挑戦する人もいるのですが、健康デザインという思考からすると、溜めるだけ溜めて断捨離をすればよいということではないはずです。
余計なもの(と思われること)を整理するには、思考を整理することが必要で、整理したことを自分自身で把握できる状態にすることが大切になります。余計なものが溜まっていくのは、それを整理する前に“思考の整理”から始めるべきではないか、と考えます。
そして、ダイエットでも健康でも、アレコレと手を出して結果が出せなかったのは、「思考錯誤」であったのではないかと気づくことから始めるべきだと説明しています。
〔健康ジャーナリスト/日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕