認知症の前段階である軽度認知障害(MCI:Mind Cognitive Impairment)のリスクとしては、加齢が最大の理由となっていますが、それに加えて、脳卒中(隠れ脳梗塞を含む)、心疾患(心筋梗塞など)、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)、高血圧、メタボリックシンドローム、肥満、喫煙歴、アルコール・薬物の影響、不健康な食生活、心身エクササイズの欠如、ストレスや不安、うつ病、社会的孤立などがあげられています。
そのため、厚生労働省による新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)では認知機能低下のリスク要因の疾病・疾患を早期に特定し、早期に適切な介入を行うことが推奨されています。
しかし、軽度認知障害と診断されても、それを完全するための的確な治療薬は存在していません。認知症の治療薬は複数あって、研究が急速に進んでいることに比べると、ほとんど有効な治療薬がないのと同じ状態です。
軽度認知障害と診断されても、食事での改善としてバランスの取れた栄養補給、運動での改善として適度な運動習慣、そして充分な休養としての休息と睡眠の確保が指示されるのがほとんどです。
こうした指導によって軽度認知障害からの改善がみられる人は約30%で、約20%が軽度認知障害のままで維持され、1年で10〜15%が認知症になり、5年で約50%が認知症に進行しています。
このような状態を改善するためには、要因の一つとなっている生活習慣病の改善が重要となりますが、さらに生活習慣病対策の栄養と運動、認知機能の向上につながる運動や生活改善も、有効な治療薬がない段階では積極的に取り組むべきこととなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕