職場のウェルビーイングとして、仕事満足度に注目が集まっています。日本人の仕事に対する満足度は世界的に低く、2015年の世界的調査においても調査された37か国中35位と先進国・発展途上国を問わず悪い状況です。
これまで、仕事満足度について横断的に調査した研究や国際比較を行った研究はあるものの、仕事のストレスやワーク・ライフ・バランス、個人の健康といった多因子がどのように仕事満足度に長期的に影響するかについての研究はありませんでした。
富山大学学術研究部医学系の研究グループは、日本の地方公務員を対象に仕事満足の背景要因を明らかにするために、2014年から2019年までの5年間の追跡調査を行いました。
対象者は日本公務員研究の参加者1429名(男性957名、女性472名)の追跡データが用いられました。要因としては。年齢、仕事の要因(職位、労働時間、生産性、仕事のストレス)、ワーク・ライフ・バランス、睡眠の質の項目を使用しました。
分析は、ベースライン時(2014年)の要因の追跡時(2019年)の仕事満足度への影響を評価し、それらの要因の5年間での変化が、どう追跡時の仕事不満足に影響しているかが評価されました。
統計解析の結果、男女ともベースライン時の仕事の裁量度が低く、睡眠の質が低い場合に、追跡時の仕事不満足に関連していました。次に、要因の5年間での変化については、男女ともに5年間で仕事の裁量度が低下した場合、睡眠の質が低下した場合、ワーク・ライフ・バランス(仕事から家庭への影響)が悪化した場合に仕事不満足と関連していました。
性別ごとで見ると、男性では仕事の生産性が低い場合や仕事の要求度が高い場合が、女性では長時間労働や仕事のサポートの低さが仕事不満足と関連していました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕