養育者が朝食を重視していないと子どもが感じた場合には、子どもが朝食を抜く傾向があることが、これまでの研究からわかっていました。また、子どもの食習慣は幼少期に形成されるため、養育者の健康な食に関するリテラシー(知識や能力)は、子どもの栄養摂取に関して重要な要素と言えます。
平常時には、子どもたちは学校給食基準規則に基づき、1日に必要なエネルギーや栄養所要量の3分の1以上を満たす給食を摂っていますが、多くの教育施設が休校となったコロナ禍の緊急事態宣言時においては、家庭での昼食に代わっており、その食事の質は、それぞれ養育者の食のリテラシーに依存することになりました。
そのため、養育者の健康な食に関するリテラシーが子どもの食の質にどのような影響を与えるのかを明らかにするため、国立成育医療研究センター研究所社会医学研究部、新潟県立大学人間生活学部健康栄養学科の研究チームは、小学校5年生と中学校2年生の子どものいる家庭3000世帯を対象として、養育者の健康的な食に関するリテラシーが子どもの食にどのような影響を与えるのかを研究しました。
研究では、養育者の健康的な食に関する「知識」、栄養価の高い食事を提供する「態度」、食事を準備する「スキル」の3つをリテラシーとして評価し、子どもの朝食を抜く割合や、バランスの取れた食事ができているかといった食事の質について調べられました。
この研究は、養育者の食に関するリテラシーと子どもの食についての関係を報告した初めての研究で、13%(198世帯)の子どもが朝食を週1回以上抜いており、こうした子どもの朝食の摂取頻度には、健康な食に関する養育者のリテラシーのうち、知識や態度が影響していました。
養育者の食に関するリテラシーのうち知識や態度の得点が高い家庭の子どもは朝食を抜く割合が低くなっていました。また、養育者の態度に関わるスコアが低い家庭では「朝食が十分な取れないこと」が、子どもが朝食を抜くことに影響していました。
また、養育者の食に関するリテラシーが低い家庭ほど、コロナ禍になってから食事の準備に充てられる時間が減った、食事の準備をする心の余裕がなくなった、食品や食事を選択する経済的余裕が低下した、と回答する割合が多く、食事の準備に対する負担感が高い傾向にありました。
コロナ禍の緊急事態宣言に伴う休校では給食が提供されなかったため、養育者の食に関するリテラシーの低い家庭ほどバランスの取れた食事が摂れた子どもの割合が大幅に低下しました。
これは養育者の食のリテラシーが低い家庭ほど、その傾向は顕著にみられました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕