機能性表示食品は検査数値を下げられるのか

サプリメントの講習のときのこと、一般の健康食品、機能性表示食品、特定保健用食品の3つの分類について説明したあとに、「使うべき人が違っているのですよね」という驚きの感想を述べた人がいました。何が驚きだったのかというと、健康食品も機能性表示食品も特定保健用食品も健康な人を対象にしてしか試験をしていないので、対象者が異なるという発想をしていなかったからです。それなのに、「今の自分の状態からして、これを選ぼう」と考えている人がいたということです。
機能性表示食品には、その中に含まれている成分の試験結果を表示して、それと同じ成分が同じだけ含まれているので、同じ結果が得られるというロジックでの表示がされています。その試験をした対象者が、高血圧や糖尿病などの正常値を超えた範囲の人であったのなら、生活習慣病と指摘される段階の人でも改善効果があると考えることも可能です。しかし、機能性表示食品は裏付けとして示すことができるデータは健康な人、つまり検査結果が生活習慣病とされる範囲の方は含まれていないデータなのです。だから、検査数値が生活習慣病の範囲の人に効果があるということは言えないということです。
機能性表示食品は過去のデータからの推定でも表示が許可されるのですが、特定保健用食品は個別の食品で審査を受けて、それで結果がよければ表示が許可されます。それだけ信用性が高いということになるのですが、だからといって病気レベルの人が使って、好結果が得られるというものではないのです。
健康食品の範疇であれば、それが機能性表示食品であっても特定保健用食品であっても、健康な人の検査数値を下げる効果はあるものの、健康ではない人、つまり検査数値を見て、病名がつけられるような人が使ってよいものではないということです。しかし、機能性表示食品のテレビコマーシャルを見ると、“健康診断で指摘されると困るから使う”というような表現がされていて、それでよい結果が得られたことをイメージさせるシーンが映し出されます。
生活習慣病の人が使ってはいけないとは言いませんが、使って好結果が得られるという保証はないということだけは知っておいてほしいのです。