ダイエットのイライラ解消と神経伝達物質

神経伝達物質のセロトニンはアミノ酸のトリプトファンから体内で合成されますが、トリプトファンはブドウ糖と結びつくと優先的に脳に運ばれることもイライラの解消と関係しています。
セロトニンは生体リズム、睡眠、体温調整などに必要な生理活性物質で、脳内で生成されます。腸の蠕動運動にも関わり、過剰に分泌されると下痢を、分泌が少ないと便秘を引き起こします。セロトニンは腸内細菌の善玉菌が多い状態では腸内で生成されるものの、セロトニンは血管脳関門を通過できないため、脳内のセロトニンを増やすためにはトリプトファンの摂取が必要になります。
トリプトファンは必須アミノ酸の一つで、タンパク質の合成のほか、生体リズムを整えるセロトニンや睡眠を調整するメラトニンといったホルモンの生成、ナイアシンの合成による中性脂肪の低下、アルコールから発生する有害物質のアセトアルデヒドの分解などの働きがあります。たんぱく質が多い食品に含まれていて、肉、魚、豆、種子、乳製品、フルーツ(バナナ、マンゴー、ドリアン)などに多く含まれています。
ちなみにアミノ酸についてですが、アミノ酸はアミノ基とカルボキシル基を持つ化合物で、たんぱく質の構成成分となっています。たんぱく質は消化されてアミノ酸になって吸収され、肝臓の中で体内に必要なタンパク質に合成されます。身体の約60%は水分が占めていますが、その他はタンパク質が約20%、脂肪が約15%、残りの約5%は糖や他の成分となっています。タンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせによって作られています。また、血球(赤血球、白血球、血小板)やホルモン、免疫物質、神経伝達物質などもアミノ酸から作られています。
もう一つの安心感が得られる理由ですが、甘いものを食べると、その後にブドウ糖の作用によって脳のエネルギー源が補われることが長く経験されてきたことから、果糖による甘味であっても脳が安心感を得て、イライラが解消されると考えられています。大脳の前方にある前頭連合野は知的活動を行っている部分で、前頭連合野には食べ物の味を記憶して、おいしい、おいしくないといった情報も記憶されています。果糖が含まれたフルーツなどを食べた記憶が安心感を与えることでイライラが解消されるというわけです。
イライラ状態はエネルギー源だけでなく、ビタミンやミネラルが不足することでも起こりやすくなっています。ビタミンやミネラルが不足した状態だと、不足しているものを早く全身に届けるための反応としてストレスホルモンのアドレナリンが分泌されて、血圧が上昇します。このアドレナリンには興奮作用があり、イライラが強くなっていくので、ビタミンもミネラルも豊富に含まれているフルーツには精神を落ち着かせる効果があるというわけです。