果糖は太りやすいと誤解されている

果糖は太りにくく、脳を落ち着かせる作用があるものの、「果糖は脂肪を増やす」「果糖が多いフルーツは太りやすい」ということが言われています。果糖が脂肪を増やすというのは動物試験で確認されたことで、果糖を多く与えると肝臓で作り出される中性脂肪が多くなります。その結果から果糖が多いフルーツは太るという話につながっていきました。
しかし、この動物試験は、総摂取エネルギー量のうち20%を果糖で摂取するようにしたもので、人間に当てはめると1日に2000kcalの食事をした場合には400kcal、果糖は1gが約4kcalなので100gもの果糖を摂るのと同じことになります。これは、みかんだと50個を毎日食べ続けるのと同じ計算です。1日に2000kcalの摂取エネルギー量のうち、糖質の割合は「日本人の食事摂取基準2015」によると50〜60%の範囲とされています。1日に摂る糖質の約33〜40%を果糖で摂るような食事は普通では考えられないことです。
こういったことを受けて、WHO(世界保健機関)は、糖類に関する文献を精査して、1997年に「果糖やショ糖の摂取は肥満を促進するという考えは誤りであり、糖類が生活習慣病に直接結びつくことはない」と発表したことから、果糖が太りやすいということは否定されています。
ちなみに、「日本人の食事摂取基準」は日本人が1日に必要なエネルギー量や栄養素量を示した基準で、現状に合わせて5年ごとに改正され、新版が厚生労働省から発表されています。現在の2015年版は2015年4月1日から2020年3月31日までの5年間の使用期間となっています。エネルギー源の摂取バランスは、糖質50〜60%、脂質20〜30%、たんぱく質13〜20%とされています。脂質は2010年版までは20〜25%でしたが、動物性の飽和脂肪酸は7%以下とされ、植物や魚に多く含まれる不飽和脂肪酸を多く摂ることを目指して、5%分が増やされました。2020年でも同様の数字となっています。