新型コロナウイルスの感染は、ウイルスに打ち克つ力である免疫の強さにかかっていて、免疫が強ければ感染しにくく、感染したとしても身体の中に封じ込められて発症しないようにすることができます。感染症が治ったということが言われると、まるでウイルスが消えてしまったように感じるかもしれませんが、ウイルスは生き残っていて、その増殖と活動が抑えられて、あたかも消えてなくなったのと同じような結果になるということです。
免疫は、免疫細胞の白血球とリンパ球が司っていますが、免疫細胞が強い軍隊のように強力な威力を発揮していれば、それで感染していても発症しないということが言われています。強い免疫細胞が強さを発揮できるかどうかは、基礎疾患の状態が関わっています。基礎疾患というのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)のことで、生活習慣病の多くを占めています。どれも血管に関わるもので、これらの基礎疾患があると血管が弱くなり、血流もリンパ液も流れが滞り、免疫細胞の働きが低下することになります。
高血圧患者は男性の60%、女性の40%を占めています。糖尿病患者は男女ともに10%、糖尿病予備群も10%ほどとなっています。つまり、20%が糖尿病か血糖値が高い予備群となっているわけです。これだけ多いと、感染症に感染しやすく、悪化しやすい高リスク者がたくさんいるということです。高齢化が進むほど基礎疾患がある人が増えてくるので、超高齢社会の日本は感染症が広まったら、一気に悪化してしまう可能性が高いということです。
感染が広まっているウイルスに対しては、すぐの対応が必要なのは当然のことですが、もしも感染して特に症状が出ていない人がいることを考えると、免疫で抑え込むことができるように、基礎疾患は早めの対応をしておく必要があります。そして、ずっと抑え込んでおけるように、生活習慣病が悪化しないように生活を改善すること、それを国をあげて推し進めることが重要だということを伝えさせてもらっています。