筋肉疲労は、筋肉を使いすぎただけでなく、疲労物質の乳酸が蓄積されることによっても起こります。乳酸は身体を動かしてエネルギーが消費されるときに発生します。通常では乳酸はエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)に変化するか排泄されますが、大量に発生すると体内に蓄積されて、疲労感や痛みを生じさせるとともに筋肉の動きを低下させます。そのためにブドウ糖の燃焼が低下してしまいます。
このことからエネルギー代謝を盛んにすることで、乳酸の発生量を減らすことができます。細胞のミトコンドリア内でエネルギーを産生するTCA回路はクエン酸回路とも呼ばれ、クエン酸を摂ることでTCA回路のエネルギー産生を高めることができます。TCA回路ではブドウ糖からピルビン酸を経て変化したアセチルCoAがクエン酸になり、その後は酵素の働きによってさまざまな酸に変化しますが、その変化には4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要となります。
ビタミンB群のほかに、エゾウコギ、クエン酸、ニンニクのアリシンが乳酸分解作用のある素材としてあげられています。その摂取タイミングですが、血糖値の上昇を受けてインスリンの分泌が盛んになるので、そのタイミングで成分が膵臓に届くように、食事の前後に摂ります。
エゾウコギは北海道東部とロシアや中国の北部の一部にのみ自生している薬用ニンジン(高麗人参や田七人参)と同じウコギ科の薬用ニンジンで、シベリア人参、アダプトゲンとも呼ばれます。ウコギ科の植物にはサポニン配糖体が含まれ、強壮・強精作用、抗ストレス作用、疲労回復作用、免疫強化作用などがあります。クエン酸は柑橘類や酢に含まれる酸味成分です。クエン酸には体内に取り込まれた鉄やマグネシウムなどのミネラルを吸収しやすくする作用があり、血流の促進、血管病の予防、免疫力の強化などの研究が進められています。
ニンニクは中央アジア原産のユリ科ネギ属の香味野菜で、球状の茎部が食用となります。ガーリックとも呼ばれます。ネギ属に特有のアリインが酵素のアリナーゼによって臭気のもとのアリシンとなり、殺菌、抗酸化などに役立ちます。また、アリシンはビタミンB₁と結びつき、吸収されやすいアリチアミンとなり、ブドウ糖のエネルギー化を促進します。