感染拡大から考える加害者になる乗員

大型クルーズ船での新型コロナウイルスの感染拡大について、全員検査の是非が論語を招いています。通常の対策では対応できないくらいに急激に蔓延したために、テレビでコメントをしている専門家の中には前言(前回の出演での発言)を翻さなければならなくなった方もいます。そんなにも一気に広まってしまったのは、乗客の検査を優先させるあまりに、乗員の検査が後回しになったことがあげられています。
乗客は船室内に閉じ込めて監禁状態にすることはできても、乗員はサービスを提供する立場であるので、室内に閉じこもっているわけにはいきません。乗員が感染源になって、乗客に感染させることを考えたら、一番先に検査をしなければならないのは乗員です。陰性であることが判明して安全が確認された乗員が食事を配布するのは当たり前のことです。食事の容器にウイルスが付着してしまったら、これが接触感染と同じことになります。容器を介しての接触感染は配膳スタッフの問題ですが、調理スタッフが感染源の場合には食事そのものにウイルスが入って、食事によって感染することも考えられます。
病院の場合には、調理スタッフから感染することは絶対にあってはならないことなので、定期的に検査を受けて、さらに感染症の問題があったときには率先して検査を受けて、安全宣言をするのは当たり前のことです。少なくとも感染リスクがある人が調理をしたり、配膳をすることはありません。通常の食事提供サービスでは食中毒対策の検査が主になりますが、限られた空間で過ごす期間が長いということでは病院も大型クルーズ船も変わりがありません。病院で1000床といったら相当に大規模です。それと比べても乗客が2000人を超えるのは危険度が高すぎるので、病院と同じレベルの安全管理があって当然と考えるのですが、それがなされていなかったということです。
乗客を優先させるのはサービスとしては当然でも、安全なサービスを提供するためには乗員の安全こそが最優先させるべきだった、これを反省として対策をしてほしいのです。