発達障害が他の障害と異なる大きな特徴2

発達障害の特徴について、「発達障害者支援ハンドブック2020」で問題点が指摘されています。前回に続いて、特徴について紹介します。
(3)発達障害の境界は明確ではない
発達障害があるかどうかを明確に示すことは困難だと考えられています。それは発達障害が連続体(スペクトラム)で、濃淡さ(グラデーション)があるからです。程度が濃ければ気づくのが早くなるものの、薄ければ気づきにくく、ある程度成長するまで見逃されることもあります。
発達障害は、社会の中で暮らすことに困難さがあるなら支援の対象となり、早期に支援をする必要があると周囲は考えるものの、本人にとっては当たり前の状態であり、自分が他者とは違っているという認識を抱かないまま成長している例が多くなっています。そして、要領が悪い、努力が足りないと言った避難を受けることで、皆と同じことができないことで自信を失い、心理的に追い込まれていくこともあります。
(4)家族的背景を持つことがある
親の育て方や遺伝が発達障害の原因のように考えて、自分や家族を責める例もみられます。発達障害の遺伝的な背景については欧米で研究が進み、注意欠如・多動性障害の場合には、精神疾患の代表格である統合失調症やてんかんよりも遺伝率が高いことがあげられています。遺伝を考えると一人の子どもが発達障害であれば兄弟姉妹にも発達障害が存在する可能性があるということですが、遺伝なので両親、祖父母にも発達障害が存在している可能があります。
発達障害について家族で充分に理解ができれていれば、受け入れて対応するべきで、家族と似た特性と考えられるレベルなら家族を責めるようなことがあってはいけないということです。
(5)いくつかの発達障害が同時に存在していることは珍しくない
発達障害は一つが単独ではなく、程度の差はあっても多くは重複して存在します。自閉症スペクトラム障害での受診でも、注意欠如・多動性障害、学習障害など重なっていることは珍しくありません。知的障害、発達性協調運動障害、チック障害などが併存している場合もあります。また、発達障害以外の二次的障害が併発している場合もあります。一人ひとりの発達障害児は、これらが重なり合った存在であり、特定の特性にのみ結びつけるのは困難なことです。