エネルギーを作り出しているミトコンドリアのTCA回路は、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸をエネルギー源として用いて、酸素を充分に活用して完全燃焼が行われている場合には活性酸素は発生しにくいのですが、酸素不足や燃焼を補助する働きの補酵素が不足して不完全燃焼になると活性酸素が多く発生するようになります。三大エネルギーの糖質、脂質、たんぱく質を摂りすぎて血液中のブドウ糖や中性脂肪が多くなりすぎると、TCA回路での燃焼が間に合わなくなり、不完全燃焼になるものが多くなります。その結果、ミトコンドリア内で活性酸素が多く発生します。
活性酸素の発生量を減らすためには、食事量が多くなりすぎないように、適度なエネルギー量に抑えることがすすめられます。適度なエネルギー量の摂取は、体格や筋肉量、性別、運動経験などによって異なりますが、一般には1日のエネルギー摂取量の目安は体重1kg当たり25〜30kcalで計算されます。体重が50kgの人は1250〜1500kcalです。
食事の量が多くなると、すべてがエネルギーとして使われるわけではなく、余ったものは貯蔵のためのエネルギーとして中性脂肪になります。糖質とたんぱく質は1g当たり約4kcalのエネルギー量がありますが、脂質は約9kcalのエネルギー量となっています。糖質やたんぱく質としてエネルギーを蓄積するよりも、脂質として蓄積するほうが少ない容量に多くのエネルギーを蓄積させることができます。そのため、食べすぎでエネルギー量を摂りすぎた場合や、食事量に対して運動量が少ない場合には、余ったエネルギーが脂肪となって脂肪細胞の中に蓄積されます。これが食べすぎや運動不足で太る理由となっています。
エネルギーとして使われなかった糖質、脂質、たんぱく質は肝臓の中で脂肪酸に合成されます。その後に脂肪酸3個とグリセロール1個が結びついて中性脂肪に合成されて、血液中に放出されます。そして、中性脂肪は脂肪細胞の中に蓄積されて体脂肪となるわけですが、細胞細胞は重要なエネルギー源であるため、エネルギー不足の状態にならないと、そのまま保存され、血液中に放出されないのが原則となっています。
脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪が増えすぎてメタボリックシンドロームと診断されるほど太っている人は、活性酸素が常に多量に発生しています。身体には恒常性機能があり、常に元に戻ろうとする力が働いています。脂肪細胞に必要以上に体脂肪が多く蓄えられていることは正常な状態ではないため、体脂肪を減らそうとする働きが起こります。そのときにストレスホルモンのアドレナリンが多く分泌されています。
この脂肪細胞に蓄えられていた中性脂肪が分解されて脂肪酸が血液中に放出されるときにも、それを燃焼させて脂肪酸が減らされていくときにもアドレナリンが作用しています。アドレナリンによって筋肉細胞(赤筋)内では脂肪の分解が盛んになっています。その脂肪の分解が盛んになり、脂肪の燃焼が盛んに行われるようになっているときに、ミトコンドリア内では活性酸素が多量に発生しているのです。